「人力資源社会保障部・財政部・国家税務総局・金融監督総局・中国証券監督管理委員会による『個人年金制度の全面実施に関する通知』」
「国務院弁公庁による『個人年金の発展の推進に関する意見』」(国弁発〔2022〕7号)を徹底的に実施し、個人年金制度の適用範囲を拡大するため、2024年12月10日に、人力資源社会保障部、財政部、国家税務総局、金融監督総局、中国証券監督管理委員会は「個人年金制度の全面実施に関する通知」(以下、「通知」という)を公表した。主な内容は以下の通りである。
1.適用範囲の拡大
通知では、2024年12月15日から、中国で都市従業員の基礎年金保険、または都市及び農村住民の基礎年金保険に加入しているすべての労働者は、個人年金制度に参加できると定められている。同時に、税制優遇政策の適用範囲は36の先行都市(地域)から全国へ拡大された。
2.金融商品提供の最適化
通知は、既存の資産運用商品、預金、商業年金保険および公募ファンドに加え、国債、特定年金貯蓄、インデックスファンドも個人年金の金融商品の範囲に組み込まれたと規定している。金融機関は、年金金融商品の資産配分の公開などの業務を適切に行い、合法的に投資コンサルティングサービスを提供し、デフォルト投資サービスの実施も検討する必要があるとされている。また、金融消費者や投資家への保護を強化するため、参加者の知る権利と独立した選択をする権利の保障も求められている。
3. 管理水準の向上
通知は、個人年金業務を取り扱う商業銀行の範囲を慎重に決定し、また商業銀行によるあらゆる種類の個人年金の販売を奨励・支援するべき旨を定めている。オンライン及びオフラインのサービスチャネルを整備し、参加者が口座銀行を変更したり、個人年金を受け取ったりする際に、より多くの個別化されたサービスを提供し、資産運用会社、保険会社などの機関が個人年金業務を遂行する際にも利便性を提供すべきであるとされている。
4. 受給条件および方法の改善
通知では、基本年金の受給年齢、労働能力の完全喪失、海外(または域外)での定住といった既存の事情に加え、参加者が重大な疾病に罹患した場合、失業保険金を受給した上一定な要件を満たしている場合、または最低生活保障金を受給している場合に、事前に個人年金の受給を申請できると明記されている。具体的な方法は別途で定めるものとする。
5. 総合監督の強化と実施体制の整備
通知は、人力資源社会保障部、財政部、国家税務総局、金融監督総局、中国証券監督管理委員会などの部門がそれぞれの職権と責任に基づき、監督を強化し、金融機関および運営主体の実施体制を整備することを求めている。金融機関は、個人の自主参加を原則として、法令を遵守し個人年金業務を展開すべきであるとされている。金融機関が法令に違反して個人年金業務を実施する場合、金融監督部門は厳格に処罰しなければならない。