「知的財産権侵害刑事事件の処理における法律適用に関する若干問題の解釈」
2025年4月24日、最高人民法院及び最高人民検察院は、「知的財産権侵害刑事事件の処理における法律適用に関する若干問題の解釈」(以下「解釈」という)を制定し、同年4月24日に正式に公布した。
解釈は、計31条、5部からなり、商標、特許、著作権、営業秘密に係る犯罪の構成要件及び処罰条項を明確に定めた。具体的な内容は以下のとおりである。
1.商標関連犯罪
登録商標の冒用に関して、「同一商品・サービス」の判断基準を明示し、名称が同一である場合、または名称が異なっていても機能、用途等が同一であり、公衆が同一の商品またはサービスと認識し得る場合等を含むとした。「登録商標と同一である商標」の判断基準も規定した。また、登録商標の冒用行為の「情状が重大」及び「情状が特に重大」となる基準を設け、違法所得額、違法営業額が一定基準に達した場合等を明記した。
登録商標冒用商品販売犯罪については、「知りながら」の判断事由を列挙し、違法所得額が大きい場合等の基準を明確にした。不法製造及び不法製造された登録商標標識の販売犯罪についても「情状が重大」等の判断基準を定めた。
2.特許冒用犯罪
「他人の特許を冒用する行為」を規定し、他人の特許証等の書類を偽造・変造する行為等を含むとした。「情状が重大」となる基準も明確にし、違法所得額や特許権者に与えた直接的な経済損失額が一定基準に達した場合等を規定した。
3.著作権関連犯罪
著作権侵害行為について、「著作権者の許諾を得ない」等の状況を判断し、「複製・頒布」、「情報ネットワークを通じた公衆への送信」等の行為を区別した。著作権侵害行為における「違法所得額が大きい」等の情状の具体的金額・数量基準を規定した。また、侵害複製品販売犯罪についても、違法所得額が甚大な場合の判断基準を明示した。
4.営業秘密関連犯罪
「窃取」、「不正侵入」等により営業秘密を取得する行為の判断基準を明確化した。営業秘密侵害行為における「情状が重大」及び「情状が特に重大」となる基準を定め、損害額、違法所得額が一定基準に達した場合等を規定した。また、営業秘密侵害における「損害額」、「違法所得額」の算定方法についても説明した。
5.知的財産権犯罪一般
共同犯罪に関し、他人の知的財産権侵害に係る犯罪行為を知りながら各種の支援行為を行った場合には共同犯罪として処理することを規定した。また、知的財産権侵害に係る犯罪行為に対する加重・減軽処罰の適用事由を明確にした。罰金額の確定にあたっては複数の情状を総合的に考慮すべきこと、法人による知的財産権侵害に係る犯罪行為に対する処罰方法についても規定した。さらに、登録商標を冒用した商品等の没収及び廃棄の原則、違法営業額等の算定方法について詳述し、人民法院が知的財産権侵害刑事自訴案件において関連証拠を法に基づき収集すべきことを強調した。