「海南自由貿易港デジタル経済の促進に関する条例」
海南自由貿易港において、急成長するデジタル経済の新たなビジネス形態に応じて、より柔軟な法制度を構築するために、2024年11月29日、「海南自由貿易港デジタル経済の促進に関する条例」(2024年12月1日施行、以下、「条例」という)は海南省第7期人民代表大会常務委員会第14回会議で可決された。旧法としての「海南省インフォメーション化条例」(2013年11月1日施行)は同日廃止された。
「条例」は計40条から成り、総則、デジタルインフラ、デジタル産業化、産業のデジタル化、データ要素や政策保障などの内容が含まれている。主な取り組みは以下のとおりである。
1.デジタルインフラの整備
① 国際情報通信の中心になることを目指して、通信インフラかつ国際通信インフラの整備と構築を行う。具体策として、国際通信業務の輸出入局を設置すること、国際海底ケーブルを建設することなどが列挙されている。
② データ処理の能力を強化し、人工知能、ブロックチェーン、IoT、ビッグデータ、V2Xなど新技術のためにインフラを建設するとされている。
2.国際業者との連携
① 通信業務分野において、外資系企業による合法的なインターネットデータ処理およびインターネットサービス業務(インターネットニュース情報、ネット出版、ネット視聴、インターネット文化運営を除く)の展開を支援するとされている。
② ソフトウェア産業において、関連部門およびその職員は、外国における企業または個人が所有する関連ソフトウェアのソースコードの譲渡または取得について間接的に強制してはならないとされている。③ 金融分野において、外資系の電子決済企業を積極的に誘致し、越境決済サービス業務を促進するとされている。
3.デジタル経済産業の促進
条例では、デジタル経済の核心産業として、集積回路、通信サービス、人工衛星通信、ソフトウェアおよび情報サービス、インターネットなどの産業の革新と発展に重点を置き、支援すべきであることが明記されている。また、産学研連携を支援し、都市データ空間を共同で構築すること、海南自由貿易港データ取引所を設立し、データ仲介、データ管理業務などの新興産業を育成することも明記されている。
4.デジタル経済の保障措置
条例は、知的財産権の保護、民間資本の誘致やビジネスの海外進出に対する支援など様々な保障措置を提供し、デジタル経済の分野における高度人材を誘致し、また、国家による管理制度の枠組み内で、データの越境移転に関するネガティブリスト制度の導入を探索するとされている。