「知的財産金融エコシステム総合試験事業実施方案」
2025年3月4日、国家金融監督管理総局、国家知識産権総局、国家版権局は「知的財産金融エコシステム総合試験事業実施方案」(金発〔2025〕10号、以下「本方案」という)を策定した。本方案に基づき、北京市、上海市、江蘇省、浙江省、広東省、四川省、深圳市、寧波市において知的財産金融エコシステム総合試験事業を展開する。本方案は2025年3月4日より施行される。
本方案は14項目の主要な任務を明確にし、2027年までに試験地域において、利便性と効率性のあるサービス体系、円滑な情報共有、完全な体制・メカニズムを備えた知的財産金融エコシステム総合試験区を基本的に構築し、知的財産、産業、金融が相互に作用する業務環境を形成することを目標としている。具体的な内容は以下のとおりである。
1.質権設定登記のオンライン手続きを全面的に推進する。試験区内の商業銀行各支店において、特許権の質権設定登記の全過程でペーパーレス化オンライン手続きを実施する。知的財産情報の公示・共有を推進する。著作権の質権設定登記公示情報プラットフォームを構築し、著作権の質権設定登記メカニズムを整備し、知的財産融資プロジェクトデータベースを設立し、情報取得の利便性を向上させる。
2.知的財産価値評価体系の構築を強化する。商業銀行が知的財産価値評価基準およびスマート評価モデルツールを活用し、知的財産価値の内部評価体系を確立することを奨励する。各地域が地域の特性を反映した商標権や著作権の評価指針や規範を策定することを支援する。
3.知的財産金融サービスの高度化を促進する。商業銀行が知的財産金融業務のための特別な業務規則および管理制度を策定することを指導する。商業銀行が知的財産質権設定のオンライン・オフライン製品を開発し、知的財産権担保融資の期間を延長し、中長期ローンの比率を高めることを奨励する。保険機関が知的財産イノベーション企業向けに総合保険ソリューションを提供することを奨励する。
担保およびモデルの革新を支援する。商業銀行が各種知的財産を組み合わせた質権による融資を実施することを奨励する。商業銀行が動植物新品種権、地理的表示、団体商標、証明商標、データ権益等を質権設定可能な知的財産の範囲に入れることを奨励する。銀行が知的財産権担保融資の譲渡に対してグリーンルートサービスを提供することを支援し、本方案の公布日から3年間、知的財産権担保融資の譲渡に関する各種手数料を免除する。
4.知的財産取引メカニズムを整備する。知的財産サービス機関の役割を発揮し、知的財産取引の活性化を図る。各種の知的財産運営プラットフォームおよび取引機関、中国版権保護センター、各国家級版権イノベーション発展基地、各版権貿易基地(取引センター)が知的財産価値評価、リスクプライシング、譲渡取引、担保処分等の分野で果たす機能を強化し、短期間の処分からより長期的な知的財産運営への転換を促進する。
5.知的財産金融協力メカニズムを改善する。銀行と企業のマッチング活動を幅広く展開し、政府系融資保証体系を整備し、知的財産権担保融資のリスク補償を強化する。融資信用サービスプラットフォームを活用し、データ共有を強化することで、企業の融資ニーズの公表、質権契約登記情報の照会、担保物の状態確認等を「ワンストップ」でオンライン処理できるサービスを実現する。