『中華人民共和国エネルギー法』
2024年11月8日、「中華人民共和国エネルギー法」(以下、「エネルギー法」という)が第14期全国人民代表大会常務委員会第12回会議で可決・公布され、2025年1月1日に施行される。同法は中国初のエネルギー法である。これまで中国のエネルギーに関する法は単行法として運用されている。具体的には、「中華人民共和国電気法」(1995年12月28日可決、1996年4月1日施行、2009年、2015年、2018年改正)、「中華人民共和国エネルギー節約法」(1997年11月1日可決、1998年1月1日施行、2007年改正、2016年、2018年2回改正)、「中華人民共和国再生可能エネルギー法」(2005年2月28日可決、2006年1月1日施行)などがある。
エネルギー法は全80条からなり、総則、エネルギー計画、エネルギー開発と利用、エネルギー市場システム、エネルギー備蓄と緊急対応、エネルギー科学技術と革新、監督と管理、法的責任及び附則を規定している。
主な内容は以下の通りである。
一、国家と地方のエネルギー業務に責任を持つ部門を明確にする。すなわち、国務院のエネルギー主管部門が国家エネルギー業務を担当する。国務院のその他の関連部門は、それぞれの責任範囲内で関連のエネルギー業務を担当する。県レベル以上の地方人民政府のエネルギー主管部門は、その行政区域におけるエネルギー業務を担当する。県レベル以上の地方人民政府のその他の関連部門は、それぞれの責任範囲内でそれぞれの行政区域における関連のエネルギー業務を担当する。
二、エネルギー主管部門に対して、法律に基づいてエネルギー企業を対象とした監督・検査を行う際の具体的な責務を与える。エネルギー企業、管理配置機関、エネルギー市場取引機関、エネルギー使用者及び他の組織に立ち入り検査を実施すること、検査事項の関係者に質問し、関連事項の説明を求めること、検査事項に関連する文書、情報及び電子データを検査し、複写すること、及びその他法令に規定された措置が含まれている。エネルギー主管部門及びその他の関連部門が法により実施した監督検査について、検査を受ける組織及びその関係者は協力しなければならず、断ったり、阻害したりしてはならないとされている。
三、エネルギー計画を国および地方各レベルのエネルギー主管部門の重要な責務とし、エネルギー計画について段階的な構造を確立する。
四、エネルギー参加者の関連法的責任について、明確な規定を設けている。①電気、ガス、熱、その他のエネルギー供給企業、②エネルギー伝送パイプラインネットワーク施設運営企業、③エネルギー企業、エネルギー使用者及びその他の関連組織または個人が含まれている。