「最高人民法院による「中華人民共和国会社法」第八十八条第一項の不遡及に関する回答」
2024年7月1日に施行された改正「中華人民共和国会社法」(以下、「新会社法」という)第88条第1項では、以下のように規定されている。株主が出資を引き受けたが出資期限の到来していない持分を譲渡する場合、譲受人が当該出資を払い込む義務を負う。譲受人が期日どおりに出資を全額払い込まない場合、譲渡人は、譲受人が期日どおりに出資金を払い込まないことについて補充責任を負う。
2024年6月29日、最高人民法院は「最高人民法院による『中華人民共和国会社法』の時間的効力の適用に関する若干規定」(法釈〔2024〕第7号、2024年7月1日施行、(以下、「規定」という)を公布した。規定第4条第1号は、以下のように明記している。新会社法施行前の法律事実に係る民事紛争について、当時の法律または司法解釈に関連規定がなく、新会社法で新たな規定が定められた場合には、新会社法の規定が適用される。株主が出資期限に達していない持分を譲渡した場合において、譲受人が期限通りに出資の全額を払い込んでいないときの譲渡人・譲受人の出資責任の認定について、会社法第88条第1項の規定を適用する。
このような規定に従い、実務上、新会社法施行前に持分譲渡後、譲渡人に会社への補充出資責任を追及するケースが多い。 新会社法第88条をどのように適用するかについて、現行法及び司法解釈が明確でないため、新会社法施行前に、持分譲渡後に譲渡人が補充的出資責任を有するか否かについて、各地の裁判所による判断基準・判決結果が一致していない。
2024年12月24日、最高人民法院は「最高人民法院による『中華人民共和国会社法』第八十八条第一項の不遡及に関する回答」(法釈〔2024〕第15号、以下「回答」という)を発表した。「回答」は以下の内容を明確した。2024年7月1日に施行された新会社法第88条第1項は、2024年7月1日以降に発生した出資期限の到来していない持分の譲渡にのみ適用される。 2024年7月1日以前の出資期間満了前の株主による持分譲渡に起因する出資責任をめぐる紛争について、人民法院は、旧会社法及びその他の関連法の規定の趣旨に従い、公平かつ公正に判断すべきである。本回答の公布・施行後、過去に発表した最高人民法院による司法解釈について、本回答の規定と一致しない場合、適用されないものとする。