『中華人民共和国反マネーロンダリング法』
「中華人民共和国反マネーロンダリング法」は、資金洗浄に関する行為を防止・規制する法律であり、2007年1月1日から施行された。中国の金融産業の急速な発展に伴い、近年の反マネロン業務には、前提犯罪の種類の範囲の狭さ、監督管理又は罰則に関する規定の粗雑、特定の非金融業に対する反マネロン制度の不完備など、新たな状況と問題が反映されている。これらの問題に対処するため、2024年11月8日、改正された「中華人民共和国反マネーロンダリング法」(以下「新法」という)が、第14期全国人民代表大会常務委員会で可決され、2025年1月1日から施行される。
新法は全65条からなり、総則、反マネロン監督管理、反マネロン義務、反マネロン調査、反マネロン国際協力、法的責任及び附則を規定している。主な改正点は以下の通りである。
一、マネロンの前提犯罪の範囲の拡大とリスクベース・アプローチを実施する原則の追加。
二、金融機関に新たなマネロン防止義務が課されている。顧客デューディリジェンス制度の新設、一般的なマネロン防止協力義務と継続的なデューディリジェンス要求の実施、受益所有者の概念の明確化、受益所有者情報登録制度の推進、マネロンに対するリスク管理措置と基本的な金融サービスに対する顧客の需要とのバランス、マネロンに対する特別予防措置の追加、中国の反マネロン・ブラックリスト機構の導入などが含まれている。
三、国際協力について、新法は、マネロン防止に関する域外適用、国際化への適応、越境監督・執行への対応ガイダンスの強化、金融機関による越境経営のマネロン防止情報共有に関する規定などを定めている。
四、行政執行について、行政処分の範囲が全面的に拡大され、行政処分の措置や強度が改正され、金融機関及びその高級管理職の免責事由が設けられている。