「2022-2024年深セン法院における渉外(香港 ・マカオ・台湾を含む)商事審判の典型事例」
2025年1月7日、深セン市中級人民法院は「2022-2024年深セン法院における渉外(香港 ・マカオ・台湾を含む)商事審判の典型事例(以下「事例」)を公表した。事例には、渉外民商事案件を巡る国際管轄、準拠法、多元的紛争解決方法などに関する問題が含まれる。
事例は計10つのケースからなり、具体的な内容は以下の通りである。
ケース1:事実上の関連性が欠くとしても、渉外当事者が書面の合意管轄により中国の法院を選択できる。
ケース2:法適用いついて、準拠法の分割指定を利用し、越境投資の権益を保護する。
ケース3:会社登記地の法律を準拠法とし、外国企業の破産後の株主権利に係る継承問題を処理する。
ケース4:外国企業の出資持分譲渡に関する紛争について、会社登記地の法律を適用すべきとする。
ケース5:外商投資準入ネガティブリストに関与しない外資企業の株主変更登記について、特別な審査手続きを行う必要がないとする。
ケース6:独立の信用状の効力、及び「支払いを先に、紛争を後に」という実務上のやり方を認める。
ケース7:外国証券法を準拠法とし、越境金融紛争を処理する。
ケース8:「国際物品売買契約に関する国際連合条約」の契約無効宣告制度を適用し、契約を根本的に違反する当事者の民事責任を認める。
ケース9:「モントリオール条約」の訴訟時効条項を合理的に解釈し、法廷地法を準じて訴訟時効の中断を認め、中国企業が日本の保険会社に対して賠償金を支払うよう命じる。
ケース10:法廷による調停を通じて、渉外平行訴訟(訴訟競合)を解決する。