『中華人民共和国国家秘密保護法』
概 要
2月27日に開催された第14期全国人民代表大会常務委員会第8回会議において、改正『国家秘密保護法』(以下、「改正法」という)が採択され、2024年5月1日より施行される。改正法は計6章65条からなり、1988年に公布された後、2010年に初めて改正が行われ、今回が14年ぶり2度目の改正となる。
改正法は、「中国共産党の指導は、中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴である」とする現行憲法第1条第2項と一致させるためには、「秘密保護業務に対する中国共産党の指導を堅持する」との文言を新たに明記した。また、国家機密の保持の3原則、すなわち、(1)党が秘密を管理し、法律に従って管理すること、(2)漏洩を積極的に防止し、重点を置くこと、(3)技術と管理を同等に重視し、革新的に発展させることを追加した。
さらに、改正法は、実務における秘密の決定と解除の具体的な方法について補足を加えた。具体的には、(1)国家秘密の範囲の決定にあたっては、必要性・合理性の原則と、科学的論証・評価を順守し、状況の変化に応じ変更することを明確にしている。(2)秘密決定の責任者に関する制度と秘密決定の権限付与の仕組みを改善した。(3)国家秘密の審査制度について定期審査を年1回の審査に改め、国家秘密の審査と解除の責任の不履行が重大な事態につながる場合の法的責任を明確にしている。
科学技術革新と科学技術による保護を重視する観点から、改正法は、秘密保護に関わる科学技術研究・応用を支援し、イノベーション能力を向上するとともに、関連の知的財産権を保護するとした。また、秘密に関わる情報システムは、国家の秘密規定・基準に従って計画・構築・運用・維持されるべきであるとし、定められた検査に合格した後にのみ運用を開始すべきであるほか、定期的なリスクアセスメントが必要であると明確にしている。