「上海市における多国籍企業地域本部の機能向上を支援するための若干の措置」
2025年2月17日、「上海市における多国籍企業地域本部の機能向上を支援するための若干の措置」(沪府弁規〔2025〕1号、以下「本措置」という)が、市政府の審議を経て承認された。本措置は2025年2月27日より公布・施行される。
本措置は計7条で構成されており、今後3年間、多国籍企業が上海において研究開発・財務管理・投資決定・調達・流通・サプライチェーン管理・シェアードサービスなどの機能を備えた地域本部またはグローバル本部を設立することを奨励する。具体的な内容は以下の通りである。
1.本部の機能向上および新規機能追加に対する奨励
中国本部をアジア太平洋本部に昇格させ、かつ2つ以上の機能を備える場合、300万元の一時的な高機能化奨励金を支給する。事業部門のグローバル本部として認定された場合、1000万元の一時的な機能向上奨励金を支給する。
2.研究開発活動のへの支援の強化
研究開発機能を有する本部に対して、高新技術企業・技術先進型サービス企業としての認定を申請することが支援され、企業所得税の優遇税率15%の適用などの優遇政策が設けられる。
3.財務管理センターの設立支援
本部による財務管理センターの設立を奨励し、銀行によるクロスボーダー資金決済の自動化処理の段階的な実現を促進する。保証金・手数料・外国為替オプション料などの優遇措置を銀行に対して支援し、本部企業が国内外の人民元・外貨資金を集中的に管理できるよう支援する。
4.新しい貿易形態の推進
本部が保税メンテナンスおよび越境再製造の試験事業を実施することを支援する。越境EC企業が本部としての認定の申請を奨励する。データの越境移転を促進するために、条件を満たす本部に対し、データの越境移転に関するグリーンルートを設置する。
5.本部の投資拡大を奨励
国外投資家の国内利益の再投資に対する課税繰延措置を推進する。技術改造投資補助の対象となるプロジェクトに対し、最大1億元の支援を行う。
6.本部職員の出入国手続きの簡素化
本部職員に対し、APECビジネスカードおよび香港・マカオへの人材を対象とする査証の申し込みの利便性向上を図る。本部の海外職員に対し、長期間有効なマルチビザの取得を容易にする。本部が雇用する外国人材に関しては、労働許可および在留許可の申請手続きの簡素化を図り、「不足書類の後日提出」や申請期間の延長などの便宜を提供する。