『ネットワーク上の不正競争防止暫定規定』
概 要
中国のデジタル経済が急速に発展し、情報技術の革新が進む中、インターネット技術を利用した模倣混同、虚偽宣伝、商業誹謗などの従来の不正競争行為や、競争相手の信用や利益を損なう架空の大口注文、データの不正取得などの新型ネットワーク不正競争行為が新たな形態で次々と現れている。
この状況を鑑み、市場監督管理総局は2024年5月6日に「ネットワーク上の不正競争防止暫定規定」(以下、「規定」)を公布し、2024年9月1日から施行される。
規定は、全5章43条で構成され、総則、ネットワーク上の不正競争行為、監督検査、法的責任、附則から成る。主な内容は次の通りである。
1.ネットワーク上の不正競争行為の全面的な整理・列挙。規定は、不正競争防止法におけるネットワーク上の不正競争行為の構成要件と認定要因を細分化し、ネットワーク上の不正競争行為を分類し、整理して明確な認定基準を設定している。具体的には、規定は架空の注文操作、悪意ある妨害や遮断、データの不正取得、プラットフォーム経営者がプラットフォーム内の経営者に不合理な制限や不合理な条件を付加するなどのネットワーク上の不正競争行為を列挙し、法的適用条項を明確にしている。
2.プラットフォームの責任の強化。規定はプラットフォームの主体責任を強調し、プラットフォーム企業に対してプラットフォーム内の競争行為の規範管理を強化するよう促すとともに、データアルゴリズムを濫用して競争優位を得る問題に対する規制を行うとする。
3.法執行手続きの最適化。ネットワーク上の不正競争行為が広範囲に及び、プラットフォームや地域を越える特性を考慮し、監督検査手続きに特別な規定を設け、重大な事件の接点により管轄権を確定するとされる。また、専門家・観察員制度が創設され、ネットワーク上の不正競争事件の難問を解決するための専門的および技術的支援を提供できる。
4.監管責任の明確化。市場監視分野の法律・法規の機能を発揮し、不正競争防止法の枠組みの下で、電子商取引法、独占禁止法、行政処罰法などの法律と効果的に連携する。さらに、違法所得の没収の法的責任を明確にし、監管効果の強化を図している。
インターネット分野における新型不正競争行為に対して、規定は行為の不当性をより全面的に判断するのに有利であり、市場の自由競争への不適切な干渉を避け、技術発展と革新への阻害を防ぐ。