2025年3月13日、国家知識産権局、教育部、科学技術部、市場監督総局、金融監督総局、国家版権局及び中国科学院は共同で「知的財産権分野におけるビジネス環境の更なる最適化に関する意見」（国知発服字〔2025〕5号、以下「意見」という）を制定し、2025年3月21日に公布した。

意見は、4つの側面から16項目の重要な任務を提示し、知的財産権分野におけるビジネス環境の更なる最適化を図り、各種の主体のイノベーションと創造の活力を十分に引き出すことを目的とする。具体的な内容は以下の通りである。

一、全体要求

意見は、2027年までに、知的財産権分野のビジネス環境を顕著に改善し、創造の質、活用の効果、保護の効率、管理の水準及びサービス能力を向上させ、行政サービスを最適化し、高品質な発展を支援することを明確にしている。

二、知的財産権の市場化メカニズムの整備

まず、知的財産の価値向上を指向する分配制度を整備し、高等教育機関及び研究機関に対して知的財産処分の自主権をより多く付与し、イノベーションの活力を引き出し、知的財産の価値実現を促進する必要がある。併せて、特許代理機関及び商標代理機関の信用評価を強化し、その結果を公表することで、一般市民が優良代理機関を選択する際の参考とする。また、知的財産の市場化価格決定及び取引メカニズムを改善し、科学的かつ合理的な価値評価基準を策定し、特許実施許諾の統計データ及び著作権登録データを公表し、特許権者が許諾使用料を合理的に見積もることを促し、知的財産の適正な取引を推進することが求められる。

民間中小企業による原始的なイノベーションの保護について、意見は、知的財産行政執行の強化及び侵害行為の厳正な取締りを要求するとともに、信用監督システムを整備し、重大な背任行為を行った対象者の判断基準及び手続きを規範化し、背任行為を行った対象者に対して法令に基づき処罰を実施することにより、企業の合法的な権益を保障するとしている。

三、知的財産権の法治保障の強化

意見は、一連の法律及び規則の改正・改善計画を提起している。具体的には、商標法及びその施行条例の改正の論証を加速し、商標使用義務を強化し、悪意のある先取り登録行為を規制すること、著作権法の関連規則の改正を加速し、集積回路配置設計に関する規則を整備し、地理的表示の専門立法を推進して地理的表示保護制度を整備すること、及び、知的財産地方立法体系の構築を強化し、知的財産権の法治レベルを向上させることが含まれている。

四、知的財産権サービスの国際化水準の向上

意見は、各国の知的財産審査機関との協力を強化し、審査情報の共有を深化させ、「一帯一路」構想に基づく国・地域との知的財産情報及びデータ資源プロジェクト協力を推進することを提案している。条件を備える技術及びイノベーション支援センターが国際交流を展開することを支援し、海外知的財産紛争対応指導のセンターを拠点に、企業に対する海外紛争対応支援サービスを提供する。また、ハイレベルな外国機関が中国国内で知的財産サービスを展開することを奨励し、保険機関が海外知的財産保険商品の開発を支援し、海外知的財産権に対する保護支援基金の設立を推進し、企業の権利保護コストの低減を支援するとしている。