「中国人民銀行、国家外為為管理局により多国籍企業の人民元・外為一体化資金プール業務の試験運用の推進に関する政策」
2024年12月18日、中国人民銀行および国家外為管理局は、上海、北京、江蘇、浙江、広東、海南、陝西、寧波、青島、深センなど10省市において、多国籍企業の人民元と外為の一体化資金プール業務の試験運用政策を最適化すると発表した。
多国籍企業の一体化資金プール業務とは、多国籍企業が企業グループ内の資金を集中的に調達や使用することにより、資金の運用効率を向上させるという資金管理方式である。従来、多国籍企業はクロスボーダー双方向人民元と外為資金という2つの資金プーリング業務を運営し、人民元・外為の越境調達についてそれぞれ国家外為局と中国人民銀行に届出する必要があり、届出の手続きとかかる時間が異なるため、効率の低下は避けられないものであった。このような背景において、越境資金の集中及び運営業務と、クロスボーダー双方向人民元資金プーリング業務との統合や最適化を実現するため、人民元・外為の一体化資金プール業務の試験運用が誕生する。
今回の政策の最適化は計5つの措置からなり、越境貿易や投資・融資の利便性をさらに向上させ、企業の越境資金管理の効率を大幅に改善することが見込まれる。具体的な内容は以下の通りである。
1.試験運用に関する審査と許可の権限を地方局に付与し、条件を満たすすべての企業は需要に応じて、地方局に申請することが可能になり、政策の受益者の範囲を拡大する。
2.中国における多国籍企業のグループ企業内で常用な項目によるクロスボーダー決済業務への異なる外為間の融資を許可し、資金調達のコストを削減する。例えば、企業の融資利率が3%とし、異なる外為間年1億米ドル規模の資金調達を行う企業は、年間300万米ドルの財務コストを節約できる。
3.届出の手続き、及び渉外的資金の支払と受取に関する資料の審査を簡略化にし、越境取引の利便性を向上させる。政策の最適化により、外為業務の手続きにかかる時間は平均50%~75%まで短縮される見込みである。
4.多国籍企業が慎重かつ自主的に債務と海外貸付の比率を決定する事が可能になり、企業の越境資金調達の利便性を向上させる。
5.多国籍企業の国内主催企業が国内の銀行口座を使用し、国外のグループ企業と国内のグループ企業間、又は国外のグループ企業間での代理人として、資金の一括決済業務を行うことを支持し、資金の利用効率をさらに向上させる。